むち打ち損傷とは
交通事故などで、頚椎の急激な過伸展、過屈曲による障害で、頚椎の他に筋肉、靭帯、神経、血管などさまざまな損傷をいいます。臨床的には頚椎捻挫型、頚部交感神経症候群、神経根型、脊髄型に分類されます。
■頚椎捻挫型
むち打ち損傷では軽度のもので約8割程度を占め、胸鎖乳突筋、前斜角筋、僧帽筋、菱形筋、大胸筋などの損傷や椎間関節の捻挫による疼痛、圧痛、運動時痛がみられ、寝違えの症状に似ています。知覚異常や頭重感、頭痛、項部痛、上肢疲労脱力感などを患者様が訴えることがあり、二次的に発症した前斜角筋症候群の症状として前腕、手の知覚異常、しびれなどがみられることがあります。
■頚部交感神経症候群
頚部損傷に際し、頚部交感神経および椎骨動脈が障害されたため起こります。他覚所見に乏しく、後頭部、項部痛、めまい、耳鳴り、視力障害、顔面、上肢、咽喉頭部の知覚異常、夜間上肢のしびれなどを患者様が訴えることがあります。
■神経根型
椎間孔内外における神経の圧迫によります。頭部から上肢まで神経症状があり、咳、くしゃみ、頚椎の過伸展、側屈回旋により症状が悪化します。他覚的には、知覚異常、深部反射の減弱、筋力低下の症状があります。
■脊髄型
頚椎の脱臼骨折を合併した場合や頚椎症、後縦靭帯骨化症を伴う場合には、脊髄症状があります。症状は下肢よりも上肢に著明で、上位頚髄が障害された場合には、横隔神経が損傷され呼吸麻痺により死の転帰をとることもあります。
早めの治療を行うことにより、後遺障害を残さないよう治療することが大切です。